【DX/業務効率化】営業担当に”記事広告の進捗日報”メール送信システムを簡単に自作・運用してわかった、思わぬ業務効率・改善

こんにちは。ぴあ株式会社 デジタルメディア・サービス事業局 データマーケティング推進室でPIA DMPの設計、商品開発をしている市川です。

社内の営業担当向けに、PIA DMPと身近なツールを作成し、”データを活用した業務改善、業務効率化”をおこなった事例についてご紹介します。

今回作成したのは、主に営業担当向け「タイアップ記事広告の数値進捗・達成状況を自動でHTMLメールで配信するシステム」です。

ツールは、Google Workspace(Googleスプレッドシート、Gmail、Google Apps Scirptなど)といった皆さんも気軽に利用できるものに、PIA DMPのデータを取り込んで作りました。PIA DMPの部分をGoogle Analyticsなどに置き換えても作成できると思いますので、ぜひご参考にしてください。

近年、デジタル・テクノロジーを駆使して経営の在り方やビジネス・プロセスを再構築する「デジタル・トランスフォーメーション」(DX)が話題になってますね。

DXを提唱したスウェーデンのストルターマン教授によると、DXに至る段階には3つのフェーズがあるそうです。

第1フェーズ:IT利用による業務プロセスの強化
第2フェーズ:ITによる業務の置き換え
第3フェーズ:業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態

今回実施した取り組みは、RPA(Robotic Process Automation。業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジー)を使った、「ITによる業務の置き換え」を目的にしたもので、身近で明日からでもできるDXの例としても、見られると思います。

話は約2年前。営業担当者から、「記事広告の進捗や目標達成度合いをもっと効率的に管理したい」という要望を受けたところからはじまります。

管理画面を見に行かずに、記事広告の進捗がみたい

営業担当にヒアリングを行ったところ、以下のような課題や要望があることがわかりました。

課題1. Analyticsなどで、ダッシュボードを作成してもらっても、毎日ログインして確認する時間がなかなかとれない(時間がかかる)
2. 記事広告の進捗を聞かれた際に、外出先などから迅速に対応できない
3. 営業担当ごとにリテラシーが異なり、ダッシュボードなどでは学習コストが高い

当時、記事広告トラフィックの急増や急減といった変化のモニタリングが十分できていなかったこともあり、キャンペーンの途中で慌てるといった事象も発生することがありました。

また、「(SlackやChatworkなどの)チャットに進捗率を送ることもできるけど、どうですか?」と営業担当に聞いたところ、「チャットよりもメールで確認したほうが楽」とのことでした。

課題や要望を踏まえて、以下のような自動配信システムを組めないか検討しました。

1. 管理画面を見ずに、記事広告の進捗が確認できる
2. メールで営業担当に進捗が送られてくる(他の営業担当の案件も見られる)

達成進捗がわかるHTMLメール配信システムを作る

HTMLメールのサンプル

課題や要望を元に、上記のような キャンペーン期間中の記事広告の一覧と進捗がわかるHTMLメール(以下、記事広告レポート)が自動配信されるシステムを作成しました。毎朝、登録した営業、編集担当に自動で配信されます。

配信システムと流れ

Google Apps Scriptで作成したプログラムにより、データの取得、統合、集計が行われた後、HTMLメールが生成され、営業・編集担当に、HTMLメールが送信されます。

1 トラフィックデータ・ページ情報データの取得

PIA DMPのAPIを通じて、1-1.トラフィックデータ(PV、UU)、1-2.ページ情報データ(記事タイトル、URL、記事公開日、広告主、メディア)を取得します。

ページ情報データは、PIA DMPレコメンドを実装する際に分類した、「カスタムページ分類」を活用しました。

カスタムページ分類の参考記事

2 目標・営業担当管理データの取得

Google Sheetsにはページ上には表示しない目標数値、広告種別(スポンサードポストやブランドキャストなど)、保証形態(PV保証、掲載保証)、営業担当社名などをシートで管理。

3 データの統計、集計、デザイン化

1と2で取得したデータを記事IDを元に集計します。達成率は、記事広告の指標として重要なので、未達成、達成、保証なし(PV保証メニューではない)とラベルを付与し、ひと目で営業担当が進捗確認できるようにしました。

キャンペーン期間については、毎日メール配信すると残り日数に目が行かなくなることを想定し、一定の残り日数になると、ラベル化して注意をひくデザインにしました。

また、HTMLメールにすることで、チャットツールで発生する文字数制限やデザイン制限を受けずに制作できたこともメールにしたメリットでした。

4 HTMLメール送信

Gmailの機能とプログラムの自動実行機能を利用して、指定した時間、アドレスにHTMLメールを送信します。

今回は、Googleのサービスやサーバを利用しているので、Google Workspace(旧 GSuite)を契約していれば、特に費用やサーバメンテナンスが不要。部内で利用するには十分な機能でした。

導入の成果と業務改善効果

導入にかかった時間ですが、DMPなどの構造を私が把握していることもありますが、プログラマーではない私でも、1週間程度でシステムを作ることができました。

当初の課題であった

・管理画面を見ずに、記事広告の進捗が確認できる
・メールで営業担当に進捗が送られてくる(他の営業担当の案件も見られる)

についてはもちろん、以下の業務改善効果がみられました。

業務改善効果・毎日数値が簡単にわかるので、キャンペーン後のトラブルが減った。
・ダッシュボードだと見るタイミングによって数値が異なることがあるが、メールだと同じ数値で営業、編集が話せるため業務がスムーズになった。
・広告主や代理店から進捗の確認があった際も迅速に回答でき、案件継続や追加施策の提案がしやすくなった。
・自身が営業担当しない案件もメールが届くので、他の記事広告の状態も把握できるようになった

また営業、編集が毎日ダッシュボードを見た場合、ひとり早くても5-10分程度かかるため、年間1人あたり 20-40時間、スタッフが10名だとすると、200-400時間コスト削減につながります。

専門の人材を据えて管理されているような企業や、スタッフの多い企業はさらに効果も多いのではないでしょうか?

明日からでもできるDX、業務効率化の例として参考になればと思います。