こんにちは。ぴあデジタルメディアサービス事業局で主に商品開発やユーザー分析などを担当している浅野です。
今回は、コロナ禍で急成長している有料オンラインライブ市場の動向について、ぴあ総研の調査結果も踏まえながら現状の把握と今後の展望、
リアルライブとは異なるユーザーニーズについてお話ししたいと思います。
音楽以外でも拡大!多種多様なオンラインライブ・イベント
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年2月下旬以降、実際の会場に観客を入る公演の開催が難しくなったことで、有料のオンラインライブやイベントが開催されるようになり、2020年内の有料型オンラインライブの市場規模は推計448億円と急拡大しました(ぴあ総研調べ)。
2020年6月のサザンオールスターズ、2020年6月のBTS、2020年10月・11月のB’z、2020年11月・12月の嵐の有料配信ライブなどが話題になりました。
音楽以外にも、劇団四季や宝塚などのミュージカル・演劇、歌舞伎、お笑い、TV番組・アニメ関連のイベントや、人気芸能人のトークイベントなど多種多様な有料オンラインライブ・イベントの配信が実施されています。
移動時間も交通費もゼロ!参加のしやすさが魅力
ぴあ総研が全国約3万人を対象に実施した「有料型オンラインライブ視聴に関する実態調査」によると、
18歳から69歳までの個人全体のおよそ5人に1人にあたる18.8%が2020年内に有料型オンラインライブを視聴したことがあると回答しました。
18~29歳女性の視聴経験は約4割に上っています。
リアルライブでは人気公演のチケットは入手が難しいこともあるのが現状ですが、オンライン配信であれば、会場の収容人数に左右されず視聴することができます。
また、ライブ会場が遠方のために参加が難しい、身体的な理由や家庭の事情等でリアルライブには参加しづらかったユーザーがオンライン配信であれば参加しやすいといった利点もあり、ライブ・エンタテインメントへの参加の裾野が広がっているとも言えるのではないでしょうか。
ネット環境が悪くて映像が途切れる!~実際のユーザーの声~
実際に有料オンラインライブ・イベントを視聴したユーザーの声を弊社内で集めてみると、
- リアル公演より低価格のため、興味があってもリアルライブに参加できていなかった公演のお試し体験ができる。
- 良席でリアル公演より細かいところが見える。カメラアングルが選べたり、配信ならではの演出を楽しめた。
- 音楽アーティストのツアーや連続公演、演劇やミュージカルを初日から千秋楽まで全公演視聴したりと、全公演コンプリートが可能になった。
といったプラスの意見が多い中、
- 家の中で視聴するので、大音量で楽しめない、大声で歓声を出せない。
- 家のネット環境が原因で、映像が途切れてしまう。
- PCやスマホだと画面が小さくて物足りない。
- 家だと誘惑が多くて集中できない。
など、視聴環境への不満の声があり、視聴環境の改善ニーズの高さが感じとれました。
没入感は様々なアプローチでサポート可能
従来型のライブエンタテインメント市場の今後の動きから影響を受けつつも、オンラインライブ・イベント自体は、更なる技術的進化、演出手法の開発等が進み、今までリアルライブには参加していなかった層をも巻き込み、拡大することが期待されています。
BTSが2020年6月に開催したオンライン・コンサートは、世界107地域で視聴され、最高同時アクセス数はおよそ75万6,600名に至りました。
恐らく、オンラインライブ・イベントの“没入感”を高めたいというのは世界共通のニーズではないでしょうか?
“没入感”のサポートして考えられるのは、モニター等の映像機器、ヘッドフォン・ステレオ等の音響機器、防音設備といった“モノ”以外にも、インターネット回線の見直し、オンラインライブ・イベントの鑑賞用ルームの貸出や鑑賞プランの提供といったサービスなど、さまざまです。
「没入感を高めたい」という欲求以外に、どのようなニーズが生まれるのか、今後もオンラインライブ・イベント市場・ユーザーを注視して、発見につなげたいと考えています。
「PIA Segments」では、オンラインライブ&イベントライブ配信セグメントがご利用いただけます。詳しくは資料をダウンロードください。
浅野 裕子
ぴあに入社してから、チケット情報の登録や提携コンビニの渉外担当、ぴあポイントサービスの立ち上げ、ぴあプレミアム会員のエンゲージメント向上の各種企画の実施、ぴあ総研での市場・ユーザー調査等、幅広い業務を経験。現在は、セグメント開発や、ユーザー分析、レポートや広告メニューの開発、マーケットリサーチ等に取り組んでいる。音楽フェス、来日ライブに頻繁に参戦していたが、徐々に追いかける対象がアートに変化。全国各地のアートフェスを楽しみにしている。